終わりがない

ロボサイエンスでは、小学生から中学生、また高校生が30名程度います。初心者コースは除きますが、同じ学年でもやっていることは違います。ある生徒は、レゴをベースにロボットを学んでいたり、ある生徒は、マイコンを使って一からロボットを作っています。生徒のやりたいを尊重した(ある意味での)個別指導です。ペースも生徒によってまちまちです。ロボットに時間をかけることができる生徒は、それだけ進捗ペースが速く、また学校が忙しい生徒は自分のペースでロボット作製に取り組んでいます。

教えるに当たり、私が重要であると思っていることが3つあります。1つ目は「自分で課題を立てる」。私の教室からロボットの世界大会に出場した生徒たちはこれまで10名以上いますが、教室のみんなが世界大会を目標にしている訳ではありません。「こんなロボットを作りたい」や「プログラミングを学びたい」など、自分でこれがやりたいと決めて、それに向けて取り組みます。ペースの早い遅いはあまり気にしていません。それそれの生徒達が、それぞれの課題という階段を登っていればそれで良いのです。2つ目は「経験する」。ロボット作り、プログラミング、大会など色々な経験は、他に代えようがない成長の糧です。ロボットはうまく行かず忍耐が必要ですが、その課題に打ち勝つと、本当の知識が身につきます。また課題に対する取り組み方も学べます。3つ目は、「継続すること」。中学・高校になると色々と忙しく、なかなかロボットの時間を取れなくなってきます。私は生徒たちに「細くてもいいから続けることが大切」だと言います。なぜなら小・中・高と続けることで、年相応の質の高い技術を多く身につけることができます。また大学で専攻する学部・学科によっては、小中校と学んで来たことが繋がり、大学の授業に対して興味がわきます。ただ受験勉強だけで大学に入学した生徒たちと比べて、ロボットに対する理解力・イメージ力・向上心などあらゆる面ではるかにアドバンテージがあります。

そもそもロボット技術を習得するのに、これで十分はないのです。小・中・高そして大学、社会人とそれそれの時にそれぞれの課題があり、その課題を克服するしかありません。まさしく終わりがない(エンドレス)。私の教え子で現在ケンブリッジ大学のロボット部の部長をしている彼が私に「先生、僕はまったくロボットの事を知らなかった」と話してくれました。ちなみにその教え子は、ロボット世界大会優勝1回、準優勝3回の実績があります。また彼には彼の課題があって、それを楽しんで克服していくものと信じています。

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