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ROBO SCIENCE

3Dプリンタで部品をつくる ―
図面から、層を積むまで

2026.10.21
PE(Pre-expert) ES(Expert-soccer) ER(Expert-rescue)

ロボットの部品を、3Dプリンタで自分たちでつくります。今回つくるのは、ロボットに電池を載せる電池ボックスです。Fusion 360 で図面を描いて立体にし、STL ファイルに書き出す。それを Snapmaker Luban で層に分け、Snapmaker 2.0 で1層ずつ積みます。この流れを順に追います。

削るか、積むか ― CNC と 3Dプリンタ

ロボットの土台は、CNC で板から削り出しました。3Dプリンタは逆で、溶かした樹脂を1層ずつ積んで形をつくります。

CNC3Dプリンタ
つくり方板から削る樹脂を積む
得意な形平らな板。大きい部品穴・くぼみ・曲面のある、小さく複雑な部品
材料MDF(木の板)PLA(植物由来の樹脂)
ロボットでは土台の板電池ボックス、センサーの取り付け台など
Fusion 360 スケッチ 寸法を決める Fusion 360 立体にする 押し出し STL 書き出す 三角形の集まり Luban スライス 層に分ける Snapmaker 2.0 印刷 1層ずつ積む
図面から部品ができるまでの流れ。前の2つが設計、うしろの3つが製作。

スケッチを描く ― Fusion 360 で寸法を決める

使うのは、CNC のときと同じ Fusion 360 です。まず平面に、上から見た形を描きます。これをスケッチといいます。

Fusion 360 のスケッチ画面。上から見た電池ボックスの形が長方形で描かれ、長さ 110、壁の厚さ 2.00 などの寸法と、左右にネジ穴のある耳が描かれている。
電池ボックスのスケッチ。長さ 110mm、壁の厚さ 2mm。左右の耳はネジで留めるところ。

形は、寸法を数字で入れて決めます。電池の大きさ、ネジの穴、ほかの部品と組み合わさる位置は、実物と寸法図を測って入れます。

立体にする ― 押し出し

スケッチに厚みをつけると、立体になります。この操作を押し出しといいます。

Fusion 360 で押し出しを選んだところ。スケッチの面が選ばれ、右に押し出しの設定(タイプ、方向、範囲など)が出ている。
押し出しを選び、厚みをつける面を選ぶ。右の欄で、どちらへ何 mm 押し出すかを決める。
押し出しを重ねてできた電池ボックスの立体。底と四方の壁、左右の耳、片側の端に丸い切り欠きがある。
押し出しを重ねてできた1つめの形(v1)。底、壁、ネジを留める耳ができた。

画面の中で回して、どの向きから見ても思ったとおりの形か確かめます。

形は1回で決まりません。下の図は、直した2つめ(v2)です。角を丸め(フィレット)、壁の形を変えています。Fusion 360 は、作った手順を画面の下のタイムラインに残します。途中の寸法を変えれば、そのあとの形もつくりなおされます。

直した電池ボックス v2。角が丸く、内側に段がつき、端に丸い切り欠きがある。画面の下に作業の手順が並んだタイムラインがある。
2つめの形(v2)。画面の下に並んでいるのが、作った手順のタイムライン。

STL ファイルにする ― 形を三角形で表す

できた立体を、3Dプリンタのソフトに渡せる形にします。それが STL ファイルです。

STL は、立体の表面を小さな三角形を貼り合わせて表します。丸い面も、細かい三角形をたくさん並べて近づけています。

STL に入るのは形だけです。Fusion 360 で入れた寸法や、作った手順は入りません。

Fusion 360 のエクスポートの画面。名前に denchiBox と入り、タイプの一覧で STL ファイル(*.stl)が選ばれている。
ファイル → エクスポートで、タイプに「STL ファイル」を選んで書き出す。

形を直したくなったら、Fusion 360 にもどって直し、STL を書き出しなおします。

スライスする ― Snapmaker Luban で層に分ける

STL を、Snapmaker の専用ソフト Snapmaker Luban(ルバン)に読みこみます。Luban は、立体を薄い層に輪切りにして、1層ごとにノズルの通り道を計算します。これをスライスといいます。

横から見た立体 薄い層に輪切りにする 1つの層を上から見る 外側は「壁」、中は「充填(インフィル)」 壁
立体を薄い層に切り、1層ずつ「壁」と「充填」の通り道を決める。

スライスする前に、次のことを決めます。

決めること意味変えると
置く向き台の上に、どの面を下にして置くか強さ、仕上がり、サポートの量が変わる
層の厚さ1層の高さ薄いほどきれい。そのぶん時間がかかる
充填率(Luban では「モデルの構造」)中をどれだけ埋めるか多いほど丈夫で重い。時間と材料もふえる
サポート宙に浮く部分を下から支える柱あとで取りのぞく。跡が残る
定着1層目のまわりに足す線や土台スカートは、部品から離して描く試し描きの線。ブリム・ラフトは部品にくっつけて、台からはがれにくくする。あとで取りのぞく

この電池ボックスは、材料が PLA、層の厚さ 0.16mm、速さ 50mm/s、モデルの構造はミディアム、サポートあり、定着はスカートにしました。

Snapmaker Luban でスライスしたプレビュー。電池ボックスが外壁は赤、内壁は緑、スキンは黄、サポートは紫で色分けされている。右にレイヤーの高さ 0.16mm、速度 50mm/s などの設定、右下に 5h 5min、9.4 m / 28.0 g と出ている。
Luban でスライスしたところ。赤が外壁、緑が内壁、黄が上下の面(スキン)、紫が宙に浮く部分を支えるサポート(Luban の表示では「ヘルパー」)。右下に、かかる時間(5時間5分)と材料の量(9.4m・28g)が出る。

計算が終わると、ノズルの動きを並べた命令のファイルができます。これを G-code といいます。3Dプリンタが読むのは、この G-code です。

印刷する ― Snapmaker 2.0 で1層ずつ積む

G-code を Snapmaker 2.0 に送り、印刷を始めます。ノズルが樹脂を溶かして細い線にし、1層目を台の上に描きます。描き終わると少し上がって、2層目を重ねます。これをくり返して、形が下から育っていきます。

印刷中の Snapmaker 2.0。台が前後に、ノズルが左右に動いて1層を描く。1層ができると、ノズルが少し上がる。

1層目がいちばん大事です。台にしっかりくっつかないと、途中ではがれて、そのあとが全部くずれます。始まってから数分は、そばで見ておきます。

印刷が終わったら、台が冷めてから外します。サポートがあれば取りのぞき、ロボットに取り付けて寸法が合うか確かめます。

黒い樹脂で印刷した電池ボックスに 8.4V の充電池が入り、CNC で削った木の円形の土台の上に、耳のネジ穴で留められている。土台のまわりにはオムニホイールが付いている。
できあがった電池ボックス。CNC で削った土台に、耳のネジ穴で留めた。中は 8.4V の充電池。

向きで強さが変わる ― 層と層のあいだは弱い

3Dプリンタの部品は、層の中より、層と層のあいだのほうが弱いです。同じ形でも、置く向きで強さが変わります。

寝かせて印刷 層が長い向きに通っている 曲げても折れにくい 立てて印刷 層と層のあいだで折れやすい (点線のところ)
力がかかる向きに、層が長く通るように置く。

ロボットの部品は、ぶつかったり、ネジでしめつけたりして力がかかります。どこに力がかかるかを考えて、置く向きを決めます。

うまくいかないとき ― 症状から原因を引く

症状原因対処
途中ではがれる。形がくずれる1層目が台にくっついていない台をきれいにする。台の高さを合わせなおす
宙に浮く部分がたれる下に支えがないサポートを付ける。置く向きを変える
穴にネジが入らない樹脂がふくらんで、穴が小さくなる図面で、穴を少し大きくしておく
細い糸がたくさん引くノズルが動くあいだに、樹脂がたれるLuban で、引きもどし(リトラクション)の設定を見なおす
すぐ折れる力のかかる向きと、層の向きが合っていない置く向きを変える。充填率を上げる
ロボサイエンスについて

ロボカップジュニア2027 に向けて、レスキュー(災害救助)とサッカーの2種目に取り組みます。プログラミングと電子工作の経験は問いません。

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