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ROBO SCIENCE

ロボットの土台を、
自分で設計して削り出す。

2026.10.06
PE(Pre-expert) ES(Expert-soccer)
木の板を2枚重ねて作ったロボットの土台。オムニホイールとモーターが取り付けられている
生徒が設計し、削り出した土台。板を2枚重ね、下にモーター、上に基板を載せる構造になっています。

ロボカップジュニア2027に向けた講座では、ロボットの土台を生徒が自分で設計しています。市販のキットを組み立てるのではなく、形そのものを決めるところから始めます。

パソコンで図面を引き、CNC加工機で木の板から削り出す。今回はその一連の流れを紹介します。

ロボットは、自分で設計する

ロボカップジュニアには、機体の大きさや重さに規定があります。また競技ごとに、求められる形も違います。ボールを追いかけるサッカーのロボットと、迷路を進むレスキューのロボットでは、必要な形が変わってきます。

既製のキットは、この規定にも戦い方にも合わせて作られてはいません。大会で戦うロボットは、自分たちで設計するところから始まります。

そしてもうひとつ、大事なことがあります。ロボットは、作りが正確でないと、正確に動かせません。

プログラムは「車輪をこの向きに、この速さで回せ」と命令します。この命令は、車輪が設計どおりの位置についていることを前提にしています。取り付けが数ミリずれていれば、命令どおりに回しても、ロボットは思ったほうへ進みません。

やっかいなのは、このずれをプログラムで直せないことです。命令自体は正しいのですから、いくらプログラムを書き直しても解決しません。原因はハードのほうにあります。

手で切った板では、どうしても誤差が出ます。CNC加工機なら、図面に書いた数字のとおりに削り出せます。正確に作れることが、正確に動かせることの土台になります。

加えて、壊れたときに同じものをもう一枚すぐ作れます。大会当日に部品が壊れることは珍しくありませんが、一点ものではそこで終わってしまいます。

まず、パソコンの中で設計する

使うのは Fusion 360 という設計ソフトです。上から見た形を描き、寸法をひとつずつ決めていきます。

Fusion 360の画面。ロボット土台の外形と、直径や距離の寸法が数字で書き込まれている
寸法を入れた図面。「なんとなくこのへん」は一つもなく、すべての位置が数字で決まっています。

車輪をどこに、どの角度で置くか。サッカーのロボットは、向きを変えずに真横や斜めへ動きます。それができるかどうかは、車輪の位置と角度で決まります。ここが狂えば、どんなプログラムを書いても思ったとおりには動きません。

ボールをどこまで抱え込むか。前側の切り欠きの大きさが、ボールを捕まえられる範囲になります。広げれば捕まえやすくなりますが、大会の規定を超えることはできません。

モーターをとめるネジ穴の位置。モーターの寸法図に書かれた間隔と、1ミリでも違えば取り付けられません。

設計した形に厚みをつけて立体表示したロボット土台のモデル
厚みをつけて立体にしたところ。この形がそのまま削り出されます。

切る前に、画面の中で試す

図面ができたら、すぐ機械を動かすわけではありません。刃がどう動くかを、先に画面の中で再生して確かめます。

シミュレーション画面。青い線で刃の通る道が描かれ、刃を表す青い筒が板の上にある
青い線が、刃の通る道。この線に沿って刃が動いていきます。

青い線が何重にも重なっているのが見えるでしょうか。一度に深く切ろうとすると刃が折れるため、板の厚みを何層にも分けて、少しずつ削っていくのです。

実際に再生すると、こう動きます。

加工のシミュレーション。青い刃が図面の線をなぞり、少しずつ板を削っていきます(2倍速)。

この動きが、そのまま実際の機械の動きになります。思ったとおりに削れるか、切り残しがないかを、材料を使う前にここで確かめます。

いよいよ削り出す

材料はMDFという、木の繊維を固めた板です。安価で、あとから穴を開け足すこともできます。

入手しやすい材料なので、作り直しながら形を詰めていくことができます。

CNC加工機の中で、刃が木の板の外周を切っているところ
加工中のようす。刃が図面どおりの道をなぞり、外周を切り抜いていきます。

加工には順番があります。先に穴を開け、外枠はいちばん最後です。

外枠を先に切ってしまうと、板が切り離されて動いてしまい、穴の位置がずれます。材料が大きいままのほうが、しっかり固定されている。この順番自体が、理由を持っています。

削り出されたMDFの板。車輪が入る切り欠きと、たくさんのネジ穴が開いている
切り上がった板。車輪が収まる切り欠きも、ネジ穴も、図面どおりの位置に開いています。

組み立てる

削り出した板に、モーターを取り付けます。

削り出した板にモーターとオムニホイールを取り付けたところ
切り欠きに車輪がぴたりと収まりました。

画面の中で決めた数字が、目の前の物になります。寸法が合っていれば収まり、ずれていれば収まりません。設計が正しかったかどうかが、ここではっきりします。

そして完成した土台は、板を2枚重ねた構造になっています。間を柱でつなぎ、下にモーター、上に基板や電池を置けるようにしてあります。

大きさの規定があるため、横に広げられないぶん、上に積むという構造です。

設計から加工までを通して

土台ができるまでに、いくつもの工程がありました。

数字で決める。車輪の位置と角度、ボールを抱え込む大きさ、ネジ穴の間隔。使う部品と大会の規定に合わせて、ひとつずつ決めていきます。

先に確かめる。材料を切る前に、画面の中で動かして確認します。

順番を考える。穴が先、外枠があと。それぞれの手順に理由があります。

ロボットづくりは、プログラムを書くことだけではありません。こうした設計や加工も含めて取り組んでいます。

ロボサイエンスについて

ロボカップジュニア2027 に向けて、レスキュー(災害救助)とサッカーの2種目に取り組みます。プログラミングと電子工作の経験は問いません。

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